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日本で今回の大口自由化を三年後に評価して、欧米型の自由化を視野に入れて再検討するが、最も留意したい点は日本が欧米と違って、一次エネルギーの供給を約八割海外に依存しているという現実だろう。
欧州はほぼ全体で、アメリカはカナダと電気の手がつながっている。
この独特の事情を持つ日本でも目下の流れは、電気を含むすべてのものをビジネスという野戦場に投げ込むという方向にあるが、果たしてそれが安定した生活をもたらすのかどうか。
自由化のもたらすメリットは確かにあるのだろう。
しかし、阪神大震災の時に電力・ガス会社が必死で徹夜の復旧作業にあたったような公益性はあまり期待できなくなる。
自由化によって電力会社が普通の企業になれば、コストをかけての無理な復旧は無意味だからだ。
すでにイギリスではリストラによる電気故障の補修の遅れが問題になってきているという。
それでもやはり電気も安い方がいい。
それももちろん選択のひとつだが、なる部分が出てくることがあることも承知しておかなければならない。
注目はむしろ、こうした情勢をよそにエネルギーの自由化、なかでも規制産業の典型的なケースとして電力の自由化が世界的な焦点のひとつとなってきていることだ。
日本でもいよいよ大口電力の自由化、あるいは大口の都市ガスの自由化が現実のものとなった。
そこで、この自由化に先進的な役割を果たした欧米のケースを検証しておくことに少なからぬ意味があるように思う。
なかでもイギリスの電力自由化がひとつのモデルとして論議されることが多く、九八年の調査取材をもとに、主にイギリスの電力の自由化問題から、その効果などの検証をしていきたい。
この分野では、精綾な学問的な分析も盛んだが、一方でこの問題が規制緩和につきまとう論理優先になりがちである点に疑問があり、この疑問の視点から問題を見ていく。
イギリスの電力自由化は大胆にいってしまえばサッチャリズムの成果といっていい。
七九年に誕生したサッチャー政権の大きな政策課題が国有企業の民営化にあったことは示知の通りである。
しかし、その後、八七年の総選挙で大勝利すると、再び電力自由化が浮上、サッチャー政権は電力自由化、なかでも発電部門の自由化に積極的に乗り出し、翌年にはイングランド・ウェールズの民営化を発表、続く翌八九年には電力自由化の土台ともいうべき「一九八九年電気法」を成立させ、九〇年に施行、一挙に白由化を促進させ、イギリスが電力白山化の先進同として昨界の注目を集める結果となる。
良くも悪くもイギリスが電力自由化の原点ということができるだろう。
わが国の自由化論議も出発点はここにあるということができる。
イギリスの自由化のスタートの形は、発電部門ではそれまでの発電主体であるCEGEが解体され、NP社、PG社、それにNE杜の三社、それに原子力関係の三社、さらにこれにIppが加わり、約五十の発電企業群となった。
さらに送電会社はNGC社、そして消費者が直按関係する配電会社としては旧十二地域にあった配電局がそのまま民営化された。
日本では馴染みのないシステムだが、発電部門、それに送電部門、さらに末端の配電部門がそれぞれに独立した会社ということができる。
日本の電力は発電1送電配電を一貫して担当しているが、これがイギリスでは三部門に分断され、送電だけが公共資産の流通手段、いわゆるコモンキャリアとして一社という形になっている。
しかし、イギリスの自由化の中核としてプールシステムの理解が欠かせない。
たぶん日本から見た場合、最も理解しにくい分野と考えられるが、この点は自由化の本質に関わる点でもあり、自由化の光も影もここに集まるといっても過言ではないだろう。
この存在が電気も普通の商品と変わらない性格を持つことが保証されるからである。
プールシステムというといかにも独特な難しい概念と思われるが、一種の市場・マーケットと考えて大きなまちがいはない。
発電事業者は発電した電気をいったん、このプールに入れることが義務付けられている。
電力の販売がこの市場プールで一括してコントロールされることになる。
このプールを通して競争入札を管轄するのが、前出のNGC社である。
理解を深めるために、その実際を概観しておこう。
入札は発電事業者が取引前日の午前十時までにそれぞれの発電所ごとの入札価倍、それに発電・版売価格を提示する。
電気も商品といっても、実際には計阿に比例づいて発屯されなければならないから、予定・計一酬が近距であり、他の尚口川のように現物ということにはならない。
この点も特徴のひとつといえる。
通常のマーケットとの大きな相違は、価格決定が価格の低い方から決められ、量が積み上げられる。
つまり最低価格がスタート台となって、必要量まで買い上げられるということになる。
当然、必要量以上の高価格の電力は引き取り手を失うことになる。
しかし、最低価格は決定価格とはならない。
価格は最後の最も高い価格で引き取られることになる発電所の制仲間であり、これを「系統限界価格」という。
発電事業社はこれによって、常に引き取りが確保される安い仙栴の入札を迫られることになる。
こうした点を見る限りこのシステムは巧妙な論理構成がなされていると評価できる。
目的の競争原理が機能するシステムということもできる。
しかし、実際にはどうか。
いくつかの問題点が指摘されてきている。
この方式では、発電事業者サイドのリスクが高い。
発電計画が実行される保証がなく、電力事業にとって最大の課題である長期投資が停滞する恐れが山てくる。
そこで出てきたのが価格契約制度といわれるものである。
これは比較的わかりやすい制度で、簡単にいえば発電事業者と供給事業者が価格契約を結んでしまうというもの。
実際の決済は後日実行されるが、その際に契約価格、それにプール価格の変動を調整する。
負担はケースによって双方に影響するが、長期的に見ればバランスが取れるわけで、少なくとも収入などの激変は緩和されることになる。
予約による為替変動リスクの回避を想起させる。
この制度はどうやら有効に機能しているとされるが、価格形成への影響を懸念する声があることも事実である。
なぜならこうした手法による取引が、プールシステムを通して取り引きされる電力量の九〇%近くにまで達してしまっているとされるからである。
市場は通常、自由かつ多彩な参/加者が求められるのが原則だが、結果的とはいえ契約制度による準価格決定という形態が九割を占めることで、これに追随する形の入札が増える結果を招いているという疑問が出てきた。
こうした契約には短期のものと長期のものがあり、目下のところはあまり表面化した問題にはなっていないものの、燃料価格の変動が激しい場合などには、その負担を巡って大きな問題に発展しかねないという見方もされている。
もっともこのプールシステムの問題点として注目されているのは、「プール・カルテル」といわれる状態。
これは当初、発電シェアがNP社、PG杜の二社によって、七割以上占められており、両社の判断がプール価格を決定してしまっているのではないか、とされたのだ。
これはどうやら事実のようであり、OFFERといわれる電力規制局はその是正措置を講じている。
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